2006年12月09日

オデュッセイア

mermaidホメロス著の古代ギリシア叙事詩「オデュッセイア」には、一つ目巨人のキュクロプス族や魔女や人魚、半人半鳥などが登場する。

最近は、「ユリシーズ」を読んで、「オデュッセイア」を読破した錯覚をする人も多いのではないか。たしかに「オデュッセイア」のあらすじや登場人物は残ると思うけれど。 ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスは、オデュッセイア(ユリシーズ)を題材に作品を仕上げた。最初の人魚は、「オデュッセイア」とは無関係のようだ。

だが、この1900年作「マーメイド(人魚)」は、民俗学で登場するように、魔物の印象がある。人魚によって、引き起こされた洪水や災害は、人の命を奪う。海に響き渡る美しい歌声が聞こえたら、難破の前兆だ。

あるときは、人間の男を誘惑し、あるいは誘惑されたり。櫛や鏡を隠し、人魚がそれを見つけて海へもどるまで、同棲するという話もあるんですね。 僕は、この人魚に、オデュッセイアに登場する、ニンフだったスキュラの姿を重ねてしまうんです。
Circe Invidiosa_1892その美しいスキュラを、醜い姿に変えたのが、女神キルケ。海の神グラウコスは、スキュラに求愛したが、グラウコスの異形の姿に怯えてしまう。

女神キルケの魔術、薬草で、スキュラを虜にしたいとやってきたグラウコスに邪恋したキルケ。 キルケは、スキュラの水浴びの場所へ、毒薬を流し込む。

下半身は6つの犬の頭と12本の足を持つ異形の姿のスキュラになってしまうのだ・・・。心も身の変貌同様に、異形のものになってしまう。

この 1892年作「嫉妬に燃えるキルケ」(Art Gallery of South Australia サウスオーストラリア・アートギャラリー)が、第12歌のスキュラの回想シーンに登場するキルケ。 この女神キルケは、第10歌から登場する。
Circe Offering the Cup to Ulysses1891海岸へ難破し、王女ナウシカアに助けられた英雄オデュッセウスは、そこから女神キルケの住むアイアイエ島へ漂着。すでにスキュラは異形になったあと。 人間の男たちを、獣や豚に変えて暮らす女神。恐ろしい。男を破滅させるファム・ファタル。

「ユリシーズ(オデュッセウス)に杯を差し出すキルケ」(Oldham Art Gallery, Oldham, England オールダム・アート・ギャラリー)は、1891年の作品。

だが、オデュッセウスは、このキルケの魔法に備えて、ハーブをヘルメスから渡されていた。 キルケは、毒薬のはいった杯をオデュッセイアに差し向ける。 ところが魔法が効かない。豚に変えられた船員たちを、もとの姿に戻すという交換条件で、キルケと生活を共にする。そのうちオデュッセウスもその気になり、子を設けるが、1年後に帰路につく。

この魔性の女キルケは、オデュッセウスのために、帰路の安全を祈る女に変わっていた。

さて、第11歌 冥府への取引も終わり、第12歌 。いよいよオデュッセウスは、帰路につく。キルケは、半人半鳥のセイレーンが、魅惑する歌声で難破させることや、美しいニンフだったスキュラの六頭と、ゼウスの怒りにふれ大渦巻を起こすカリュブディスが棲家とするメッシーナ海峡の難関を示していた。 Ulysses and the Sirens

スキュラの六頭には、6人が犠牲になったが、ゼウスが稲妻を落とし、無花果の木に助けられたオデュッセウス以外は全員死亡。どう、この第12歌の結末は? 船員は、家畜で生きながらえたほうがよかったのか。

1891年の「ユリシーズとセイレーン」の作品。(National Gallery of Victoria, Melbourne, Australia ヴィクトリア国立美術館、メルボルン)

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posted by shu〜 at 17:55 | Comment(0) | TrackBack(3) | 日記
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